痛ましい事故
皆様もう各社の報道でご存知のことと思いますが
今月初めに腹部の脂肪吸引をされた女性が亡くなられた。
ご遺族にとっては悔やんでも悔やみきれない、突然の不幸です。
脂肪吸引は正しく行えば、極めて安全性の高い
確立された手術である。
しかし、なぜあのような事故が起こったのか?
解剖の結果、腸が吸引管で傷つけられていたとの報道もある。
私も毎日この脂肪吸引を行っているが
そんなことがありえるのだろうか?
脂肪層の下には硬い腹筋があり、その下に内蔵が収まっている。
この硬い筋肉を突き破るなどということは
ちょっと考えられない。
もちろん背骨からの硬膜外麻酔と静脈麻酔、全身麻酔を組み合わせた麻酔法の危険性はこれまで私が指摘してきたことである。
しかし、今回の一番の問題点は、無理な価格破壊による集客、そしてすみずみまで責任者の目が行き届かない規模、医者の極端な低レベル化など
大規模チェーン店の問題点が一気に集約された事故であることだ。
これまで私は、医療のチェーン展開への疑問点を再三とりあげてきたが、
最悪の結果として露出してしまった。
だがこれは、氷山の一角に過ぎないであろう。
当局には徹底的な事件の追及をしてもらい、膿を出し切ってもらいたい。
このような状況でも、私を信用して毎日脂肪吸引を受けにいらっしゃていただいている。
ありがたいことである。
ただ皆様もちろん、この報道を知っていらっしゃるので不安が大きい。
わたしもこの事件に関する正しい情報を皆様に提供して、正しい選択をしていただけるよう最大限の努力をしている。
二度とこのような事故がおこらないようすべての医療従事者が襟を正して
診療にあたらなければならない。
ご冥福をお祈り申し上げます。
- 2009年12月15日
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